スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

6月, 2021の投稿を表示しています

第1回 サムホール展

  11日金曜日から、東海市のギャラリーdziにて「第1回 サムホール展」が開催されています。私も2点出品していますが、個展に出した作品です。いろいろな会派や無所属で活動している、様々な方の展覧会なので見ていて面白いです。6月 23日まで。

技法についての連載(2)「混合技法」

 大学院で混合技法の研究とそれを用いた制作活動を行った。 (1)基底材       混合技法は絵をそうで考えた場合、下の層ほど脂気が少なくなる。このことはとても重要で、逆だと壁のペンキがはがれるように、ペロンと絵の具が剥がれてしまう。油性のペンが何にでもはじかずに書けるのは油が強いからだ。反対に、鉄筋コンクリートの壁のペンキが剥がれている場合、油性のペンキの上に水性のペンキで塗ったからという場合が多い。なので、混合技法の基底材は水性である必要がある。つまり、麻布のキャンバスを、膠で目止めをして、その上に脂気のない膠を用いた白(ジェッソ)を用いる。 (2)下描きからインプリマトゥーラ       木炭や鉛筆などで下がきをし、炭や水彩絵の具でなぞったり、暗部を薄く塗ったりして調子を作る。その上に油彩でインプリマトゥーラを施す。インプリマトゥーラとは、画面全体をテレピンなどの揮発油でかなり薄めた画溶液に少しの油絵の具(何色でもよい)とほんの少しのホワイトを混ぜて溶き、ほんのり色が全体につく感じで、着色をすることである。 (3)テンペラ白と混合白       その上からテンペラの白か混合白を用いて明るいところをかき起こしていく。       テンペラ白も混合白もテンペラメディウムを使って作る。テンペラメディウムは鶏卵1個とその半分のスタンドオイル、同量のダンマルニスで作る。       まず、ダンマルニスをつくる。画材店などで固形のダンマル樹脂を手に入れる。それを広口瓶にnグラム入れて2nミリリットルのテレピンで浸し、一日に2回くらいの割合で上下をひっくり返しながら振って、溶かしていく。1週間ほどすると樹脂が完全に溶けるので、不純物を取り除くために上澄みを別便に移す。新聞広告などを追って漏斗を作り、ティッシュペーパーなどフィルターにするとよい。       テンペラメディウムのつくりかたは、広口のジャムの空き瓶などを熱湯消毒して鶏卵1個を割って入れる。黄身についているカラザを取り除き、ふたをしてよく振る。均一に白身と黄身が混ざったら、分量のスタンドオイルとダンマルニスを入れてさらによく振る。マヨネーズ用のものができるが、成分的にも似ている。マヨネーズは卵と酢と油、テンペラメディウムは卵と樹脂と油、どちらもエマルジョンである。エマルジョンとは油性の粒が水性の溶液の中で細かな粒

技法についての連載(1)

  「油絵ですか?」「アクリルですか?」私の絵を見た人によく聞かれる質問だ。答えはどちらでもない。大まかに言うとアクリルの上から油絵の具少しとアキーラで描いている。そのほかに布などもコラージュするので、いわゆる「ミクストメディア」である。  私は小さい頃から理科が好きだった。私の父と弟は2人とも理科系の大学を出て仕事についた。私は中学校では理科が得意、高校でも生物や化学は授業を聞いているだけでほとんど満点が取れた。ただし、科学は有機化学になるとさっぱり分からなくなったが。なので、高校3年生の時は理科系大学受験のクラスにいた。その方が、芸大を受験するにはデッサンの勉強をする時間がとれると思ったからだ。しかし、愛知芸大は見事に1次試験で落ちた。運良く愛知教育大学の美術科に入学できた。  大学に入って、夏休みの集中講義で修復家の歌田眞介先生、当時東京芸大の先生だった坂本一道先生から絵画組成の集中講義を受けた。歌田眞介先生からは生キャンからのキャンバスの作り方と、正しい絵画組成の方法、坂本一道先生からは混合技法の制作手順を教わった。  教育大学だったが「教員になれば嫌でも毎日授業のことは考える」と、私はあまり授業のやりかたなどの研究はせずに絵画組成の研究と作画に明け暮れた。元々技法書はたくさん読んではいた。理科系の頭なのですんなりと頭にも入ったのだと思う。卒業論文は「カマイユ」とした。「カマイユ」とは、「グリザイユ」を含む、単色画のことを指す。「カマイユ」は一般的に褐色の単色でトーンをつくり、その上から固有色を置く絵を指す。しかし、本来は何色でも単色画なら「カマイユ」と呼ぶのだが、褐色が多かったために現在の定義となった。装飾品の「カメオ」は「カマイユ」と関係がある。「グリザイユ」は白黒の単色画のことである。  ここで重要なのは、絵を描くときの「分業」である。つまり、単色でフォルムとマチエールとトーンだけを先に作るのだ。その上から固有色を置いてその時に「色」とそのハーモニーやバルル考える。大切なのは技法の手順や絵の具の使い方を覚えるのではなく、「分業」するという考え方だ。絵を描くときに「形」「トーン」「マチエール」「カラー」「ハーモニー」「バルル」などたくさんの要素を一気に考えながら描いていくことはとても難しい。そのための分業なのだ。  大学院に残り、結構広めの部屋をほぼ1人